ボールねじは、モータの回転運動を直線運動に変換するための伝達機構です。工作機械からアミューズメント機器に至るまで幅広い用途に使用されるため、伝達動作に対して高い精度が要求されます。
ボールねじを駆動させるためのトルクは、その駆動させるモータの選定と直接関係します。そのため、設計者は、使用条件下でのトルク特性を正しく把握していなければなりません。また、外部荷重に対する軸方向弾性変位量を小さくする目的で、ボールねじに与圧を与える場合があり、ボールねじのトルク管理は最終製品にとって非常に重要な項目となります。
ボールねじが発生させるトルクには、動作中に生じる「動摩擦トルク」と起動時に生じる「静摩擦トルク」があります。静摩擦トルクは動摩擦トルクより大きく、起動時には慣性トルクを考慮する必要があります。設計に要するトルクを計算式で算出することはできますが、実際にトルク測定を行うことが重要です。
トルク測定方式
ボールねじの伝達測定方式は2種類あります。
それぞれ下記のような特徴を持っています。
【A.ネジ軸力による測定】
ネジを回転させ、ナットを周り止めし、ネジの軸力でトルクを測定する方法。
【B.ナット応力による測定】
ナット側にロードセルを取り付け、ネジを回転させて測定する方法。
A | B | |
被測定ネジの取り付け | ○ 容易 | × 不便 |
検出部が受けるロス | × 軸受けのロスあり | ○ ロスなし |
起動トルク測定 | ○ 軸力で測れる | × できない |
特長 | 被測定ネジの取り付けが容易で、生産ライン向け。ただし、トルクが小さいネジは誤差が大きい。 | 被測定ネジの取り付けに手間があるが、測定ロスはない。 |
測定事例